改を外すと言うミッション  

70‘年式911T。
宝物殿にて公道復帰への作業が進行しておりますが…。

型式欄に「改」が入ってるんです。

一時エンジンが別のモデルに積み換えられて登録上排気量も上がってます。


これをオリジナルの№マッチングしたエンジン、ミションに乗せ換えは完了。

更に登録の時にはこの「改」を外す訳ですが…。

これが今回の指示です。


この車検・登録手続きですが…。

「元のエンジン積んでるんだから改なんて勝手に外れるでしょ!」

って思われる方も多いでしょう。


しかしですね…。

ここが厄介なんです…。


自動車を国に認証受けて登録する為には必ずエンジンやミッション(ギアボックス)の詳細な仕様を登録して認証を受けます。
これを911Tが輸入されてた当時は正規輸入元であるミツワ自動車がされてました。


しかし後年、並行輸入で日本に持ち込まれた車両ではこのエンジン、ミッションに付いてはちょっと扱いが変わってしまう…。


正規輸入車であれば通常エンジンはポルシェの発表してる生産年、モデルに適合した「原動機の型式」と言うのを使って登録されますが並行輸入車はこれをエンジンの生産された個体番号、つまりエンジンのシリアル№で登録されてしまう場合が多いんです。


人に例えると「田中さんとこの上の兄ちゃん」と「田中さんとこの下の兄ちゃん」は同じ「田中さん」です。
役所の住民登録も当然同じ田中家の一人。


これが並行輸入のは「山田家」飛び越えて「上の兄ちゃん」で世帯を作られちゃいます。

( ´艸`)


「原動機の型式」が、ポルシェ発表のが山田家。
エンジンの固有の番号が「上の兄ちゃん」「下の兄ちゃん」。


だから、この911Tを登録し直す際にもエンジンが、

田中さん

他所の家の兄ちゃん

田中家の上の兄ちゃん

この順に変わると積み直したエンジンは新車で付いて来た911TでNoマッチングしてても田中さんやのに「田中さん」から「田中さんとこの上の兄ちゃん」に変わるんで登録上は新車登録時とは違うエンジンが載ってる事に成ります。


すると「改」が外れない訳です。


この原動機の型式を勝手に陸運支局で製造個体Noで登録するのって本来は燃費や様々なテスト経過させて国が認証した物では無いのでおかしいんですがね…。


輸入車でメーカー発表のエンジンの型式を調べるのにまだパソコンも無い時代に作業を簡略化する為に取られた逃げ道やったんでしょうね。

現在はパソコンで即座にエンジンNoから該当する原動機の型式は調べられますね。

画像は別の車両

しかし、このエンジンNoを使うか?田中家を使うか?の判断が現場の職員の裁量で決められるんで厄介…。

元のエンジンを載せてても「田中さん」にするか「兄ちゃん」にするかが現場の担当者が個々に判断するんで今回は何度も陸事へ足を運んで根回しをして来ました。

この辺までは僕が何とかして置きますが…。

このエンジンの正式な「原動機の型式」で登録するにはそのエンジンの個体が正式に認証された製造No に含まれるのか?を陸事で証明する必要がある。

ここからがロッキーの力の見せ所で…。

この生産時にメーカーの設定した「原動機の型式」がどのNoからNoなのかを証明して現在搭載してるエンジンのNoがその範囲に入ってる事を証明する資料が要ります。

但しこれも明確な規定が無く担当者の裁量に依る所に任せられるので厄介なんですね。

日本の雑誌やwukipedeliなんかは却下される場合多いです。


本の装丁や編集の時期や出版社など説得力有るか?担当者の印象で信憑性を図るので何でも良い訳では無いですね。

今回ロッキーからは洋書のナロー専門書とロスのクラブから出た資料を用意して事前に陸事でOKを貰ってます。

クラブからの資料は非常に重く理解された様ですが…。

これはクラブ代表者とロッキーの「親分」が友人付き合いが有って手に入ったので「さすがやなぁ~」と僕も感心した次第です。


さて、昨日準備万端、後は車検受けて登録すりゃ任務完了!って所で…。

昼前に宝物殿に着いて車両の電装系チェックを始めると…。



「あれっ?」

「バックランプ光れへんわ」


親分が後ろから声を掛けます。


え?、こないだ光ってたやん?
球切れちゃう?


そこからあれこれするも全く光らず…。

こりゃシフトレバーの位置ずらしたからか?

この車両、エンジンもOHしてますからシフトレバーの位置がずれてたので位置を修正してるんですが…。

その際にバックギア側への振り幅が変わったんでそのせいか?


色々考えますがそんな事関係無いんですよね。
構造ご存知の方なら良く分かります。


こりゃバックランプスイッチ逝かれたな…。


仕方無い…。

ジャッキアップして確認や…。





バックランプスイッチはギアボックスの前側の横に付いてるんでそいつの配線を先ずは確認すると…、ちゃんと刺さっとる…。


でも緩いんですよね…。


おお…、

こりゃ端子が抜けかけてた?

と一旦引き抜いてスイッチの端子で導通を確認する。

するとギアをバックに入れるとちゃんと導通する。


こりゃやっぱり配線の折衝不良やったんやな…。

って事で解決しましたが…。


結局この日は陸事へ行けず終い…。


「改を外すと言うミッション」は後日持ち越しに…。


まぁ、50年程も前に造られた車両ですからね…。

色々起きますわ。

オーナー様の所に納車されてからトラブルで無い様、しっかりメンテします。